木魚歳時記 第3872話

 

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 上皇は震怒遊ばされ、清盛に命じて経宗、惟方二人を禁中にからめ捕えさせ、経宗を阿波、惟方を長門国へ流した。永暦元年三月、乱後、百年も経たない時であった。
 上皇が震怒あらせられたのも道理。深く庶民を愛し、庶民の生活にあこがれた上皇にとって、街の眺めこそこの上なく楽しいものであり、街上の老若男女こそふるさと人のようになつかしいものであったのだから。
(佐藤春夫『極楽から来た』)556

        七輪と団扇と炭と焼魚

 「ボクの細道]好きな俳句(1621) 種田山頭火さん。「ふりかへらない道をいそぐ」(山頭火)。岐路をすぎたとて、行乞の暮らしが変わるわけではありません。同じ年に「秋風の石を拾ふ」があります。山頭火さんから<拾う>行為は消えることなく続くのです。さて、ブッダの言葉に続き、梶原重道師の「偈(うた)」をいくつか掲載させていただきます。種田山頭火さんの俳句とのコラボをお楽しみ下さい。「文寶蔵菩薩のふえの声 三解脱門の風すゞし」(梶原重道『菩薩曼荼羅』)

 馬(うま)2 彼を車につける度ごとに、私は、彼が今にも唐突な身振りで「いやだ」と言って、車を車を外してしまいはせぬかと思う。どうして、どうして、彼は矯正帽でもかぶるように、その大きな頭を上げ下げして、素直にあとずさりをしながら、轅(ながえ)の間にはいる。