木魚歳時記 第3870話

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 院庁の大手腕家たる信西を除かない限りは院政を廃することができない。院政を廃しない限りは、天皇のご親政は到底望めない。こう考えた経宗、惟方二人の曲者どもは、おっちょこちょいの信頼と人のいい義朝とを先ず籠絡(ろうらく)して信西を殺させ、信西がかたづけば信頼も義朝ももう用もないから、今度は清盛と通じて信頼らを誅(ちゅう)せしめた。そうして兵乱の責任を信西を寵し給うた上皇に帰して、上皇のご政権をそごういという寸法であった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)554

        夏シャツの頚に「老人乗車証」 頚(くび)

 「ボクの細道]好きな俳句(1619) 種田山頭火さん。「木の芽草の芽歩きつづける」(山頭火)。昭和5年。山頭火さんは、それまでの日記をすべて焼き捨て、あらためて『行乞記』を書き始めたようです。そして、ふたたび飄々と果てもないさすらいの旅に出てしまいます。* 信により 生死の淵を渡る 心をおさめることを船頭とし 精進によって苦を除き 智慧によって彼岸に至る(ブッダ)

 牡牛(おうし)10 彼はその縮れ毛の頭を夕風に振り向ける。
 眼を半分つぶったまま、時々思い出したように啼く。
 一声もの憂げに吼(ほ)えては、その声にじっと耳を澄ます。
 女どもは、彼の額(ひたい)にある捲毛(まきげ)で、それが牡牛だということを見分ける。