木魚歳時記 第3868話

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 信頼も義朝も実はふたりとも操り人形なので、これを巧みににも残酷に操った者は、はじめは信頼方に、後には清盛の方人(かたうど)としてご潜幸につとめた天皇の側近で大納言藤原経宗と検非違使別当藤原惟方という大の曲者どもである。
 そもそも二条天皇のおん母、すなわち後白河院がまだ十七歳のころの愛人たる懿子(いし)は、経宗の父大納言経実の女(すなわち経宗の異母妹)だから、経宗は天皇の義理の弟にあたる。また惟方の母は天皇の乳母であったから惟方は天皇の乳兄弟というわけである。
(佐藤春夫『極楽から来た』)552

        虹一つ虚構の町に浮かびたり

 「ボクの細道]好きな俳句(1617) 種田山頭火さん。「どうしようもない自分が歩いてゐる」(山頭火)。昭和5年9月14日、山頭火さんの日記に「捨てても捨てても捨てきれないものに涙が流れるのである」と、あるそうです。増える荷物の重さ、心の葛藤に悩まれたのでありましょう。* おい 起きなさい なぜ寝ているのか じがばち・たにし・どぶがい・木食虫の類よ・・ 汚いもので覆われ その中にいて 迷ってわが身というものがあると考えている(ブッダ)

 牡牛(おうし)8 彼は、駆け出したくてうずうずしている足を無理に引き止めて、わざとゆっくり草を踏みしめて行く。彼は英雄気取りで、糸の先の銀蠅を水の中に浸す。隠れるようにしても、ほんの時々ポプラの蔭に隠れるだけだ。彼は重々しく生け垣に渡してある梯子(はしご)の所に辿(たど)りつく。ここまでくれば、くたくたになった手足に最後の努力をこめて、無事に牧場の外へ飛び下りられるわけだ。