木魚歳時記 第3857話

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 義朝は一刻も早くと、よろいを取って着け、かぶとの緒(お)をしめつつ庭に出る間ももどかしく、馬を呼んでまたがり、家の子郎党をかえりみて、
「このうえは六波羅へ押し寄せ、屍(しかばね)をさらすばかり」
 と、馬に一むちくれて出ようとする所で、義平はわが馬をひかえて父に先を譲った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)541

        ただ灼けて海辺の砂と遊びけり

 「ボクの細道]好きな俳句(1607) 三橋敏雄さん。「撫で殺す何をはじめの野分かな」(敏雄) さて、台風です。いったい何から被害が始まるのでしょうか。ボクはこんなふうに考えました。「悪漢も赤子もからめ野分かな」(木魚)。さて、ボクは、ご本山の境内(けいだい)の楠(クス)木に「巣」をかけて、一日中、鳥仙人のような暮らしをして遊びました。近所のみなさまから、あの子変な子・・と、思われていたことでしょう(汗)。

 水の虻(あぶ)3  一匹の牛が皮の前掛けを振るうか、あるいは乾いた地面を蹄(ひずめ)で蹴(け)るかすると、あぶの雲が唸(うな)り声を立てて移動する。ひとりでに湧(わ)いて出るようだ。 おそろしく蒸し暑い。で、婆さん連中は、戸口の所で、暴風雨(あらし)の気配を嗅(か)ぎ、こわごわ冗談を言う・・