木魚歳時記 第3826話

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 もとより手箱の底ふかく秘めている。もしそれがなかったらあの成菩薩院の昼のことも高野山上雪のあやかしと同じように思うかも知れない。それにしてもあのおん似顔絵は今、皇女八条院さまのお手もとにでもあるのであろうか。
 あたかも一年後、五月以来の御不例が重らせた時、すなわち保元の乱の直前、美福門院は落飾あらせた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)513

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 「ボクの細道]好きな俳句(1576) 佐藤鬼房さん。「桜湯に眼もとがうるむ仮の世や」(鬼房) 「桜湯」とは銭湯のことでしょう。込み合う時刻を避けて、一番ブロ楽しむ老人の姿が目に浮かびます。さて、『極楽から来た』(連載中)は、佐藤春夫さんの短編小説(法然上人の伝記小説)です。法然上人は、天台(叡山)で学ばれ、43歳で山を下られて浄土宗を開かれました。『極楽から来た』は、ブログ「3294話」(2018-1-1日付)から連載(分割)を続けています。

 猫(ねこ)2 遊び飽きると、命だけは助けてやる。それからどこかへ行って、尻尾(しっぽ)で輪を作ってその中に坐(すわ)り、拳固(げんこ)のように格好よく引き締まった頭で、余念なく夢想(むそう)に耽(ふけ)る。