木魚歳時記 第3816話

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 一切は無常、生者は必滅と知らぬでもないが、世にも美しいおん方がこの世界から消えて行ってしまった悲しさは、一身の最も頼もしいうしろ盾(たて)が失われたというようなそんな打算から出るものではなく、大地の覆滅とまではいわないまでも、よい平安の時代が終わろうとするに当って、この最も美しいいけにえを供物に求めたかと思われた。そうして。
   朝ぼらけ漕ぎゆくあとに消ゆる泡の哀れまことにうきよなりけり
 と隆信はため息のリズムをそう歌ってまだ歌い尽くせないうらみを感じて、亡き人をしのぶ悲しみはやがておもむろに身の不才と不運とを嘆くものにかわっていった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)504

       豆飯のうまいうまいとお爺さん

 「ボクの細道]好きな俳句(1566) 今井千鶴子さん。「成人の日の母たりしこと遥か」(千鶴子) 今井千鶴子さんの娘さんに、確か、今井肖子さんという俳人がおられた? と思います。掲句は、その肖子さんの「成人の日」に作られた作品でありましょう。何か、ほのぼのとしたものを感じる一句です。さて、旬の、エンドウ豆を入れた「豆ごはん」をいただきました。おいしかった。

 孔雀(くじゃく)3   花嫁は来ない。
彼は屋根の頂に登り、じっと太陽の照らす方を眺める。彼は魔性の叫びを投げかけ・・