木魚歳時記 第3804話 

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 その後、加賀がまだ俊成の家にいたころ、門院はもう一度あのよい子の育ったところを見せに来いと、加賀につれて来させた。二、三年前の夏の日であったが、その子は遊び疲れたところをつれて来られたものと見えて、
「もったいない、もったいない」
 と、しきりに恐縮する母親にしんしゃくもなく、門院の膝をまくらにぐっすりと一ねむりして目をさますと、
「ああ美しい夢を見てよかった」
 と、目をこすりこすりして無邪気に大きなあくびをしたものであった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)493

       六月の空と空気と磨崖仏 
「ボクの細道]好きな俳句(1555) 石原八束さん。「大阪の夜霧がぬらす道化の鼻」(八束) 「道化」(どうけ)と称される路上芸人、なかんずく、夜の道化者の姿は少なくなりました。昔、道化人の「かぶり物の鼻」が夜露に濡れることがあったでしょう。さて、「俳句王国がゆく」という番組で、「花は葉にいったり来たり父の恋」? の作品と出会いました。父(高齢)と俳句をたしなむ中年の娘、幸せな親子です・・

 小紋鳥(こもんちょう)6 時々、彼女は庭に出て、どこかに行ってしまう。お蔭で、平和な家禽(かきん)一同をいっときホッとさせる。ところが、彼女はまたやって来る。前よりもいっそう喧(やかま)しく、騒々しい。そして、無茶苦茶に地べたを転げ回る。