木魚歳時記 第3798話 

f:id:mokugyo-sin:20190521043053j:plain

 歌人の家では、家庭内のこのスキャンダルを世間へ広めないように極力苦心したため、そのうわさは大原の世捨人(よすて
びと)あたりを吹く清風はこれを伝えず、従って為経がこれを知らなかったのは幸福であった。
 しかし遠い雲の上の美福門院の周囲を吹く風はかえってこういうたよりをよく伝えた。かしましい女房づれが耳さとくどこからか聞き出して来て口さがなく取り沙汰していた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)489

       九時半にのっそり起きる蟇   蟇(ひきがえる)

 「ボクの細道]好きな俳句(1549) 岩淵喜代子さん。「田鳧群れ冠羽を動かさず」(喜代子) 田鳧(タゲリ)とは、頭に反り返った冠羽(かんむりばね)がある冬鳥のことです。冠の形状からこの名前が付いたのでしょう。しかし、この寒さの中では、さすがの田鳧(タゲリ)もご自慢の冠羽(かんむりばね)を動かそうとしません。ところで、もっとすごいのは、天が落ちるような雷鳴がしても、微動だにもしない鳥がいます。ハシビロコウです。ハシビロコウは、微動だにもせず獲物が接近するのを待って捕食します。ところで、ボクも、二度寝、三度寝、つまり、朝寝、昼寝、時には夕まどろみまでしながら相棒のつくる夕餉(ゆうげ)の支度を待ちます。

 七面鳥(しちめんちょう)2 道の上に、またも七面鳥学校の寄宿生たち。
毎日、天気がどうであろうと、彼女らは散歩に出かける。
 彼女らは雨を恐れない。どんな女も七面鳥ほど上手に裾(すそ)はまくれない。また、日光も恐れない。七面鳥は日傘も持たずに出かけるなんていうことはない。