木魚歳時記 第3702話 

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 この時敗軍中の大立者であった左大臣頼長は逃げる馬上で流れ矢に当たって死んだが、この藤原長者たる大旦那を失った南都の蔵俊は『唯識比量抄』(ゆいしきひりょうしょう)を八月十四日に浄書し終わって「筆ヲ執ッテ書カントスル二文字モ紅涙ニ染マル」と奥書している。
(佐藤春夫『極楽から来た』)399

       往生をとむらふごとく虎落笛

「ボクの細道]好きな俳句(1453) 矢島渚男さん。「太初より昼と夜あり蛍狩」(渚男) 「太初」(たいしょ)とは、初劫(しょこう)、つまり、天地の始まりから「昼夜」(ちゅうや)は存在した。この巨大な時間の流れと、ひと時の蛍狩との二物衝撃に圧倒されます! さて、カゲロウは、はかないモノの代名詞に数えられます。とりわけ、オオシロカゲロウの寿命はわずか2時間だそうです。そのため、彼、彼女らは、卵からいっせいに羽化(うか)し、いっせい交尾し、2時間ですべて「いのち」つきるというのです。嗚呼。S氏がいう「死ぬ気まんまん」なんて、冗談でも云ってはなりません。天寿を全うしなければバチがあたります。