ためらいながらありのままに打ちあけたのが、相手の気に入った様子であった。老アジャリは耳を傾け聞き入り、さて慈眼をうるませ、つくづくと少年を見やって、「それは頼もしくよい考えである。しかし、そなたのその決心も今からすぐにではまだ少し早かろう。」
(佐藤春夫『極楽から来た』)327
寒禽のなほ炯炯と鉄格子 炯炯(けいけい)
「ボクの細道]好きな俳句(1377) 秋元不死男さん。「蝿生れ早や遁走の翅使ふ」(不死男) 蠅(はえ)に限りません。自然界では、生まれるや同時に生存競争が始まるわけです。それを遁走(とんそう)と表現したところに作者の発意があるわけです。自然界の「掟」は厳粛であります。