木魚歳時記 第3589話

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 神崎からであったか、江口からであったか、何でもそのあたりから乗り込んで来た若い男は、田舎では見なれない華麗な風俗で、少年はこれがはじめて見る都人と思われたが、彼はなれなれしく少年に近づき少年に言葉をかけた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)291

       蟻の列あゝいそがしいいそがしい

 「ボクの細道]好きな俳句(1339) 橋本多佳子さん。「乳母車夏の怒濤によこむきに」(多佳子) 作者の代表句です。海辺に横向きにされたままの乳母車。幼い命のはかなさと、はてしない大自然(大海)の雄大さが活写され見事です。こうした気の強さ、芯の強さが多佳子作品の魅力の一つとなります。