木魚歳時記 第3569話

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 観覚としても決して甥の道中に不安がないわけではないが、ぐずぐずして時機を失したくない。暑からず寒からず、はやり病のない春のうちに旅立たせたい。この思いは誰もが同じであつた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)272

      昔から朧のころが好きでした   朧(おぼろ)

 「ボクの細道]好きな俳句(1319) 山口誓子さん。「夏草に汽罐車の車輪来て止る」(誓子) 夏草の茂る待避線に汽罐車(きかんしゃ)が来てゴトリと止まります。大きな動輪の動き、ふきだす蒸気の音、あたりの寂けさの中で、巨大な躯体の制動の瞬間が目に浮かびます。ボクは、誓子さんのことを俳句の神さまだと思っています。その理由は、誓子さんの作品に触れることでわかります。