木魚歳時記

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木魚歳時記 第3377話

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 しかし元来、気のやさしいこの女人は、あの理由の知れない夜討やその結果の良人の死以来、無理もないことノイローゼ気味で、小矢児の名が評判されるにつけても、定明の一味がいつ何時、再び小矢児を襲うかも知れないという不安に耐えないで、母はひしと子を抱いて日夜守りつづけていたが、ついに悪夢のつきまとう稲岡の住み慣れた居館を見捨てて、弓削から少しでも遠い倭文庄(しどりのしょう)の実家へ帰ったのであった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)82

     少年に酢の匂ひして竹の秋

 「ボクの細道]好きな俳句(1126) 摂津幸彦さん。「階段を濡らして昼が来てゐたり」(幸彦) なにかがあって、昼間、アパートに帰ってみると、濡れた足跡が、乾いたコンクリートの階段の二階あたりまで、それもだんだんと細くなって続いていた。それを見た作者のいろんな思いが想像できて魅力的な作品です。