木魚歳時記 第3346話

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 けんかの原因は弓削の若者が稲岡の娘に求婚したが、娘には稲岡に愛人があったらしく、弓削への嫁入りを拒んだ。着飾ったその娘が愛人らしい若者と相前後してお参りの列内にあったのを見て、弓削のふられた男が稲岡の色男に飛びかかったというたわいもない話であったという。
(佐藤春夫『極楽から来た』)52

      炎天の館に黒の霊柩車

 「ボクの細道]好きな俳句(1097) 坪内稔典さん。「黒猫は黒のかたまり麦の秋」(稔典) あたりまえのことが、あたりまえを超越して作品として生き生きと輝き出すには、どこかに卓越した仕掛けがあるからだと思います。揚句の場合、それは「黒」のリフレインと、「黒のかたまり」の楚辞、さらに「麦の秋」(季語の)の取り合わせにあるのでしょう。