木魚歳時記 第3339話

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 押領使(おうりょうし)というのは令外(りょうげ)の官(かん)といって大宝令(たいほうりょう)に定めた以外の役人で、国衙(こくが)の下に兵を指揮して都内の狂暴の徒を鎮圧して治安を維持するために、原則的には郷土の名望ある豪族が任命される役目であったが、この制度が大宝令にはなくてその五十年後天平宝字(てんぴょうほうじ)三年(西暦七五九)にはじめて置かれたのはわずか五十年間に追々と地方の民情がこんな官を必要とするほど不穏になりはじめたのを明らかにするものである。いったんこうなればもう古代の純朴は失われる一方である。
(佐藤春夫『極楽から来た』)45

  (平成25年京鹿子祭応募作品)「悉有仏性」15句
      腸の底に怪しき黴の花  腸(はらわた)

 「ボクの細道]好きな俳句(1090) 坪内稔典さん。「走り梅雨ちりめんじゃこがはねまわる」(稔典) なるほど、じっと静かに整列している「ちりめんじゃこ」などあるはずがありません。しかし、このあたりまえのことを、あたりまえに描いては面白くない。動きのある「走り梅雨」の季語と取り合わせ「はねまわる」とかわいらしく描いたところが秀逸です。