木魚歳時記 第3311話

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(四) 昨日の叔父の言葉をまたもはっきりと思い出した定明は、それにつけ加えて、「そうしてそれっきり帰らないのか」と、ひとり言をいった。叔父から聞かされたあの思いがけない話に、この生別が死別であることを感じ取ったのである。
 折から声もかけないで表口から来る足音を聞きつけ、父であるもいかと空頼(そらだの)みで見かえると、土間には叔父が立っていた。彼は不便(ふびん)な甥を見やって、(佐藤春夫『極楽から来た』)17

      天湖なほ天に近づく青夜かな

「ボクの細道]好きな俳句(1062) 能村登四郎さん。「春愁の中なる思ひ出し笑ひ」(登四郎) 「思ひ出し笑ひ」とは? 想像は出来そうですが、作者でなければそれは断定することはできません。「春愁」(しゅうしゅう)という情感のある季語がありますから・・何か、ひとりで愉悦するような出来事でも起こったのでしょうか?