木魚歳時記

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木魚歳時記 第3303話

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 父からこの話を聞いた若者の定明はもとより、分別ざかりの定国もこの夢を霊夢と信じて少しも疑わなかった。そうして彼は、一人のさぶらひつく者もない主上のお側に早く行かなかった夢の中の自分の、波を押し渡る勇気のなかったのを恥じ悔いていた。
 そのためか、日ごろ快活な定国は、その後、四、五日ほどは、怒っているかのように口もきかず、何やら楽しまぬ様子で、山上に行っても笛も吹かず、こんな時の彼がよくするようにひとりで経文をとなえたり、『法華経』をたどたどしい筆つきで一心に写しはじめていた。(佐藤春夫『極楽から来た』)9

      夜濯のしやぼりしやぼりと外科病棟   夜濯(よすすぎ)

 「ボクの細道]好きな俳句(1054)  能村登四郎さん。「少女の素足路地へすつ飛ぶ十一月」(登四郎) なぜ11月なのか? そぞろ寒さのある11月だからこそ、紅顔、素足の美少女像が生き生きとする。そもそも、短詩形の世界で「なんでや?」と問うことは作者に失礼。作者は好きなことを好きに17文字にするだけのことです。