木魚歳時記

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木魚歳時記 第3299話

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定国は美作に帰って来て都大路よりも草深い田舎の少年のころから歩みなれた道の方をなつかしく歩みやすいものに思って、都の生活は日々にうとんじ忘れつつ、定明に農事を教え、利鎌(とがま)を与えて山沢を切り拓(ひら)かせていたが、恩顧をこうむった亡き主君のことだけはいつも忘れず、ともにこれを語るべき宗輔が居ないため、ここに来てひとしおその思いが募るかのような気がした。
 そのためか、さすがに時々は見る都の夢のなかに、かしこくも主上がまだご在世のお姿を現して定国にものを命じ給うこともあった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)5

      客引きのたひらなかほや年の市

 「ボクの細道]好きな俳句(1050) 安住 敦さん。「しぐるゝや駅に西口東口」(敦) 代表作です。見知らぬ土地の初めての駅に降り立つ。さて、目的地に向かうには西口に出ればいいのかそれとも東口に? 折から外はしぐれているようです。おもわずコートの襟を立てながらともかく東口に向かう・・と、散文で書くならこのようになるところですが・・