木魚歳時記 第3297話

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 堀川天皇は末代の賢君といわれた方で、白川上皇のむつかしい院政の下にありながらも、ご自身の政務は決しておろそかにはなさらず上奏文なども一々お取り上げあって、夜中にご自身でお目を通され、ところどころには下げ紙をつけて「此の事尋ぬべし」とか「此事重ネテ問フベシ」などと直筆でお書きつけのうえ、翌日それぞれの係の者へお下げ渡しになるのはもったいないみたいなと当時の人々を感激させたほど律義なあったし、そればかりかまことに温厚なお人がらで折合いの面倒な院庁の気受けもよく宮廷の女房なども同輩がみなかしこくもみかどのようであったらどんなにかうれしかろうかと話あったともいい伝えられる程であるから、知遇の恩のある定国が追慕し奉るのも当然のことであろう。
(佐藤春夫『極楽から来た』)3

      化野の花野となりてしづもりぬ  化野(あだしの)

 「ボクの細道]好きな俳句(1048) 秋元不死男さん。「軍港へ貨車の影ゆく犬ふぐり」(不死男) 軍需物資を積んで、港の専用貨物用の引き込み線へ入る車両の黒々とした影が不気味な影を落としています。その貨物線の傍らに小さな「犬ふぐり」が、あの独特の形状をして実っていたというのです。戦時下のシリアスな状況を思い起す作品です。