木魚歳時記 第3296話

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 定国はまた手先の器用な人で、当年宮廷や上流社会で琵琶(びわ)とともに流行していた朝鮮笛や笙(しょう)の修造や細工などに巧みであったため、左大臣頼長の一門でその一味の権大納言藤原宗輔(ごんなごんふじわらのむねすけ)に召されてお出入りになっていた。
 堀川天皇が三十にもならないでおかくれになった後、定国いつも宗輔の屋敷へ出かけて行っては庭前に流れるほたる火をお霊かといい、虫の音をおんささやきかと聞きつつもあるじがかき立てる灯の下で、しめやかに亡き主君がご在世に賜った種々なおいたわりの思い出をあとあとへと涙ながらに語り出していた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)2

      石仏の裾でおろがむ子かまきり

 「ボクの細道]好きな俳句(1047) 秋元不死男さん。「道にはずむ成人の日の紙コップ」(不死男) なんでもない状況を描写した作品です。でも、空き缶でなく、紙コップであるところが道にはずむ紙コップの動きが読み取れて軽快です。さらに、「成人の日」を取りあわせたことでにわかに華やかとなりました。