「今日のことば」
庭のなか(6)
林檎の木(向かい側の梨の木に)一お前さんの梨さ、
その梨、その梨・・お前さんのその梨だよ。
あたしがこさえたいのは。
(ルナール『博物誌』)
「ボクの細道]好きな俳句(843) 井上菜摘子さん。「ゆふやけの端をめくれば磨崖仏」(句集『さくらがい』) 「端をめくれば」の語彙(ごい)に尽きます。菜摘子作品の凄いのは、卓越したセンス(感性)により掬い上げられた独自の語彙と、それを17文字に紡ぎ上げる行程に寸分の狂い(ブレ)のないことです。読者は、圧倒的に迫る「写楽画」を眺めるように、菜摘子作品の完成度に酔い痴れます。さて、秋・冬・春・夏季の順に、菜摘子さんの俳句をご紹介して来ました。句集『さくらがい』には、他にも秀句が満載です。また、折に触れご紹介できればと考えています。
ほうたるをつかみそこねし木偶坊
木偶坊(でくのぼう)