「今日のことば」
庭のなか(2)
木苺一なぜ薔薇には棘(とげ)があるんだろう。
薔薇の花なんて、食べられやしないわ。
生簀(いけす)の鯉―うまこという。だから、俺も、
人が食やがったら骨を立ててやるんだ。
薊(あざみ)一そうねえ、だけど、それじゃもう遅すぎるわ。
(ルナール『博物誌』)
「ボクの細道]好きな俳句(843) 井上菜摘子さん。「夏の蝶風の森まで行くといふ」(句集『さくらがい』) 語彙の選択と配分について。作者は、研ぎ澄まされた感性の持ち主です。そして完成度の高い作品に紡ぎ上げる手腕はこの作者の独壇場となります。さらに、メルヘンティックな作品(掲句)思考も自由自在です。春季の「白地図やまず蝶の径付けてやる」(菜摘子)も、やはり、優しさのにじむ作品でした。この作者は、余計な「ことば」を除去することに完璧です。
白い蛾のマジソン郡の橋で待つ