木魚歳時記 第2587話

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 (ナーラカ) 師(ブッダ)はいわれた「(道の人)が理法にかない意義あることを多く語るのは、みずから知って教えを説くのである。みずから知って多くのことを語るのである。」(スッタニパータ)

 「ボクの細道]好きな俳句(353) 清水基吉さん。「綿虫を唇に当てたる身の弱り」(基吉) わかります。綿虫は、空中を浮遊する「目まとい」(ヌヌカ)のような小さな羽虫のことです。さて「唇」(くち)にまとわりつく羽虫すら払い除ける気力がない! これほどの身体(気力)の衰えを、あるとき、突然に気づくのが高齢者なのであります。この厳粛な事実を「唇(くち)に当てたる身の弱り」と素直に言い留めたところが秀逸です。 

       しばらくはぬかるみつづく雪の道