木魚歳時記 第2524話

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 (コーカーリヤ) 師(ブッダ)は諸々の修行者に告げられた「賭博(とばく)で財を失う人は、たとい自身を含めて一切を失うとも、その不運はわずかなものである。しかし立派な聖者に対して悪意をいだく人の受ける不運は、まことに重いのである。」(スッタニパータ)

 [ボクの細道]好きな俳句(292) 田中裕明さん。「月光のごつと当たりぬ葛の花」(裕明) 前掲の裕明さんの作品「空へゆく階段のなし稲の花」(裕明)が、早世(54歳)された裕明さん辞世の作品? とするならば、揚句は、その数年前に重篤な病(やまい)を宣告された頃の作品かと推察いたします。なぜならば、葛(くず)の花という語感さびしげなツル花に、月光までが「ごつ」と冷酷にふりそそぐ。仏の慈悲の光を示すはずの月光が・・と、そんなことを思いました。

         門前に熊手もちたる枯蟷螂   

                  螳螂(とうろう)= かまきり