木魚歳時記 第2192話

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 (精励)「神々も人間も、ものを欲しがり、執著(しゅうちゃく)にとらわれている。この執著を超えよ。わずかな時をも空(むな)しく過ごすことなかれ、時を空しく過ごした人は地獄に堕ちて悲しむからである。」(スッタニパータ)

 [ボクの細道] 「五・七・五」(2) 或るとき、愛宕(おたぎ)の念仏寺を訪れました。ちょうど真冬の頃でした。寺に、小さな池があり、その泥の中に真鯉が二匹沈んでいるのに気がつきました。それは、まるで、死んだように固まっていました。ふと「寒鯉の背びれの少しうごきけり」そんな俳句が頭をよぎりました。そうです、まるで「死んだように生きている。」これが「寒鯉」という季語の本意であります。もう「寒鯉」というだけで、上記の散文の大意は尽くせているのです。ことばの持つ<力>というのでしょうか。

        ひらひらと加茂大橋をゆりかもめ