木魚歳時記 第1759話

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 蛸薬師さん

 新京極のド真ん中に、妙心寺(みょうしんじ)という寺があるがのう。昔、この寺の住職の母親が病気になり、好物の、「蛸(たこ)が食べたい」という。「坊主(ぼうず)が魚を買うのは・・」住職はためらったが、蛸を買って持ち帰ったそうな。これを見た人が怪しみ、「箱をあけて見せよ」と迫まった。いたしかたなく住職が箱を開けたところ蛸が法華経(ほけきょう)八巻に変っていたそうな。住職がさっそく、その経文(きょうもん)をお唱えすると、母親の病気は、たちどころに治ったということじゃ。以来、妙心寺(みょうしんじ)は、「蛸薬師(たこやくし)さん」と呼ばれ親しまれている。〈妙心寺:中京区新京極蛸薬師 〉

     花冷の雲がちぎれて飛んで行く