木魚歳時記 第1751話

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 鳴虎さん

 堀川寺の内を東に行くと報恩寺という寺がある。そして、この寺には虎の絵を描いた屏風がある。なんでも、中国の有名な絵描きが描いたそうな。これがあまり上手に描かれていてのう、いまにも動きそうな、という噂が立った。そのころ、聚楽第(じゅらくだい)に居た秀吉が、この話を聞いて無理に聚楽第に持ち帰ったそうな。 ところが、その夜なると、おどろおどろしい虎の声が聞こえてくる。「虎が寺に帰りたくて鳴いている」 そう考えた秀吉は虎の絵を寺に帰したそうじゃ。 以来、この絵は鳴き虎の図と呼ばれ、 報恩寺で大切に保存されているそうな。 (報恩寺:堀川寺の内)

    寺町を抜け裏寺へ鐘おぼろ