木魚歳時記 第1648話

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   よく眠る夢の枯野が青むまで  金子兜太

 {人体冷えて北東白い花盛り}{暗黒や関東平野に火事一つ}{冬眠の蝮のほかは寝息なし}{狼に蛍が一つ付いていた}いずれも、ぼくの好きな兜太さんの作品です。「俳句には可能なかぎりの自己表現をと願ってきた」。と、これは兜太さんがどこかで書いておられた言葉と記憶しています。形式主義のマンネリ作品が氾濫する中で、兜太さんが90有余歳ながら、なお、悠々自適に「尿瓶俳句」など発表される元気と活力に敬意を表する者であります。

      緑蔭にやせた子猫のよつてくる