木魚歳時記 第1169話

f:id:mokugyo-sin:20140103164913j:plain

葛野

 西京区に、葛野大路(かどのおおじ)があります。古代より、このあたりには、ツル状木としてのカズラ、ないし、中・低木のカツラ(桂・楓)が多く茂っていたそうです。葛野(かたの)の呼び名はこれに基づくのでありましょう。
 古代日本語には、カズという植物の名前もあるそうです。万葉集にも「可頭(かず)の木」として登場いたします。このカズは、うるし科のヌルデとか、桑科のカヂ(こうぞ)との説もあるようです。落葉樹の低木であるカヂ(楮)は、ユフ(木綿)を採るためにも貴重な樹木でありました。いずれにしても、古代の葛野(かどの)は、楮(かづ)の茂った広大な原野として重要な役割を果たしたようです。

     寄居虫の三男愚痴をこぼしけり