獅子吼
清水寺の狛犬(こまいぬ)は、阿吽(あうん)、つまり「阿」(口をひらく)と「吽(うん)」(口を閉じる)でなく、両方とも「阿阿」(ああ)と口を開いて笑っているように見えます。
しかしそもそも、狛犬は、高麗(朝鮮半島)より伝わった獅子(しし)像のことですから、狛犬(こまいぬ)は笑っているように見えますが、実は、笑っているのではなく吼(ほ)えているのです。ですから、清水寺の狛犬は両方とも「獅子吼」(ししく)しているのです。つまり、「獅子吼」(ししく)の二重奏ということになります。因みに、獅子吼(ししく)とは、釈迦の説法が獅子(ライオン)の咆哮(ほうこう)のように堂々としていたところから、後世、雄弁の喩えに用いられるようになりました。