木魚歳時記 第1147話

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幽霊飴(ゆうれいあめ)

 「今は昔、慶長四年、京都の江村氏妻を葬(ほうむり)し後、数日を経て土中に幼児の泣き声あるをもって、掘り返し見れば亡くなりし妻の産みたる児にてありき。然かるに其の当時、夜な夜な飴を買いに来る婦人ありて、幼児掘り出されたる後は来らざるなりと。此の児八歳にて僧となり修業怠らず、成長の遂に高名な僧となる。寛文六年三月十五日、六十八歳にて遷化(せんげ)し給う。されば此(こ)の飴のこと、その後、誰いうとなく、幽霊子育飴とか薬飴と称するなり。」
 みなとや「幽霊子育飴本舗」は、いまでも六道の辻で営業されています。

     読点のことりと落ちて冴返る