木魚歳時記 第1144話

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六道の辻

 謡曲の『熊野』(ゆや)に 「実(げ)に恐ろしやこの道は、冥土(めいど)に通ふなるものを、心ぼそ鳥辺山」 とあります。古来より葬送の地とされた鳥辺山の麓にある六道の辻は、あの世とこの世の境(さかい)と考えられました。
 中世の地図に、松原橋(鴨川)を渡ると、清明塚や大黒堂がならび、塔婆坂(とうばさか)から東に、姥堂(うばどう)、地蔵堂、閻魔堂、愛宕寺(おたぎてら)などが描かれています。それらは現在、西福寺、六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)、珍皇寺(ちんこうじ)として残っています。
 いまでも、六道の辻一帯にある上記の寺院においては「御精霊迎」(おしょうらいむかえ)の行事(8月7日~10日)が盛んに行われています。

      夜のおぼろ仏吐きたる空也像