黒谷さん=金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)の塔頭(たっちゅう)に西雲院(さいうんいん)がある。この寺の堂に、長さ二メートルほどの黄色味をおびた石が置かれてある。これを「紫雲石」(しうんせき)と呼ぶそうな。
「人の心には仏になる種があるもんなん」
(大西良慶「にんげんんはねぇ」)
承安五年。比叡山(天台宗)を下りた法然上人は、粟原ヶ岡と呼ばれたこのあたりの大石に腰をおろされ、「日想観」(にっそうかん=夕日を見て仏を思う)をされたそうな。すると、にわかに<紫の雲>がたなびき、そのとき<念仏の教え>を悟られたと伝えられている。それから、上人はこの地に庵を結んで浄土宗を開かれた・・とも伝えられている。<西雲院:黒谷町一二一>