木魚歳時記 第626話

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 キリスト教のサタンと異なり、仏教では、悪魔は、なじみが薄いようです。修行の邪魔をする<誘惑>が、形を変えて<悪魔>となってあらわれます。

   「おとなになりて、
      よろず悪き心あるなり」(無住『雑談集』)

 宗教では、<悪>および<不義>を擬人的に表現したものを悪魔と呼ぶようです。仏教の原始経典である『スッタニパータ』には、悪魔に類するものとして「<ものうさ>と睡眠、恐怖、疑惑、みせかけと強情、(誤って得られた)利得と名声と尊敬と名誉、(自己を褒めたたえて)他人を軽蔑すること」。と述べています。つまり、仏教では、心の中に住む「煩悩」(ぼんのう)を、悪魔と考えたようです。

     僧堂に忍び入りたる春の塵