木魚歳時記 第587話

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 「愛」を煩悩とみる代表的な例を二つあげてみましょう。その一つは、サンスクリット語の<カーマ>を語源とする愛についてです。

 カーマとは<愛欲>と訳されます。カーマの原義は<欲求>の意味でありますが、仏教では、しばしば<愛欲>と訳され、煩悩の一つとして排されます。ただし、インド古来の神として「歓喜自在天」(かんきじざいてん)、すなわち略して「聖天」(しょうてん)の信奉が根強く支持されたように、仏教の一部においても、こうした愛の行為を「涅槃」(ねはん)の境地とする考え方も存在したようで、そうしたことに基いて「歓喜仏」(かんきぶつ)の信仰は根強く行われたようです。ぼくは、愛欲を宗教的に肯定する思想が発展したのは、インドにおける亜熱帯の風土がかかわっている?そんなことを考えています。

     大奥や腹に一物よめが君