「輪廻」(りんね)の原語は、サンスクリット語のサンサーラであります。これは「流れること」という意味です。ですから、サンサーラは「流転」(るてん)とも訳されることもあります。
古代インド人は、生あるものが、さまざまな形態に生まれかわると信じていたようです。したがって、次の生で何に生まれ変わるかは重大な関心事であったわけです。このこと、つまり「輪廻転生」の束縛から解放されること、悪い方へ輪廻する恐怖からいかにして逃れるか・・これが、当時のインド宗教家の最大の課題であったともいえます。このことが解脱を意味していたとさえいえるのです。
日本仏教、特に、中世以降の日本仏教の中において「六道輪廻」(ろくどうりんね)が説かれ、多くの庶民が(悪い方向への)六道輪廻から逃れるために行った信仰形態もこれと基をいつにするもでありましょう。