木魚歳時記 第578話

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 「甘露」(かんろ)とは、インドの古いことばである「アムリタ」の訳語であります。これを飲むと不老不死になるとされる神々の飲料であります。

 「アムリタ」は、また、ニルヴァーナ・涅槃(ねはん)の同義語として用いられることがあります。仏教のことを「甘露の法門」と呼ばれるのはこのためです。これは不老不死の実現ともいえる涅槃をアムリタにたとえたものでしょう。もっとも、アムリタ(甘露)は、古くギリシャ神話にもその源をたずねることができるそうです。古代中国でも、天子が仁政を行うための、そのめでたい前兆として、天から甘露が降ると考えられていました。さらに、甘露そのものを不老不死の霊薬としたようです。ですから、人類の歴史において不老不死への願いは、古今・東西を問わずおなじであったのかも知れません。

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