木魚歳時記 第561話

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 「行基菩薩」(ぎょうぼさつ)は、いうまでもなく、仏教の民間布教と社会事業に貢献された「聖」(ひじり)、すなわち、歴史上の人物でありますから、今まで述べてきた菩薩とはまた違った意味があります。

 行基は「市の聖」と称せられ、文殊の化身とも称せられ、聖徳太子につぐ日本仏教創生の功労者とされています。その行基が「行基菩薩」とまで庶民の信奉を集めたのは、庶民とおなじ底辺にあって、当時の土木事業をはじめ、平安京造営に集まった難民の救済など社会事業の実践に貢献したからでありましょう。この章のはじめに、菩薩とは、自身の悟りを求めるに止まらず、庶民の救済をめざして行動するもの・・と申し上げましたが、行基こそそのことを実践して、庶民より「行基菩薩」と崇められた最初の聖(人)でありましょう。

  夜濯のしゃぼりしゃぼりと外科病棟(応募作品10)