木魚歳時記 第547話

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 「愛染」(あいぜん)とは、「愛染明王」(あいぜんみょうおう)の略で、女性の幸福と美しさを守る神さまであります。谷中永法寺や大阪四天王寺の愛染堂には、粋な玄人すじの参詣が絶えない・・と聞いています。

 おふくろのことも・・ぼくが子ども(4、5歳)のころ、おふくろが(映画『愛染かつら』の主題歌)「旅の夜風」をよく口ずさんでいたことを思い出します。それと「愛染」の話とは直接に関係はありませんが、そのころ歌われていた「籠の鳥」?という歌もよく歌っていたようです。すこし哀調を帯びた低い声で「♪出るに出られぬ籠の鳥」と歌っていたのが、なぜか、強烈に記憶に残っています。田舎の寺から出て来て、ぼくたち子どもを大勢生んで育て、そして次々と失くして・・寺の風習の中で生涯を終えていったおふくろのことが、なぜか、愛染明王の話とオーバーラップするのです。

    郷愁のしぐれは遠き街の色