木魚歳時記 第522話

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 『維摩経』(ゆいまきょう)の「不二の法門」(ふにのほうもん)つまり「無分別の世界」(不二)について。文殊の問いかけに維摩居士は言葉を発しません。すると文殊は「大いに結構、これぞ<不二>の回答・・なぜならそこに、文字もなく、言葉もなく、心がはたらくこともありません」。と維摩居士を讃えたそうです。

 ぼくは、この問答から、小沢昭一さんの「ドーナツの穴」)のことを思い出しました。「ドーナツには穴がある。穴はあるようだけど穴は無い。穴はないようだけど穴はある」。つまり「穴」という文字で「ドーナツの穴」を説明することはできない。これと意味は違いますが、ぼくは難しい局面に遭遇すると黙ってしまいます。沈黙は愚者の知恵です。阿呆やほんまに・・

   暮六つのいと冷まじくなりにける