木魚歳時記 第365話

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山姥の はくれんとなり 獣道

 悟ったような顔で説教しますが、実は、ぼくは「修羅場」の体験などありません。ですから、山奥の獣道の「ドラマ」など語る資格はないのですが、どうしたものか、ぼくのアンソロジー(詞華集)には、山姥がよく登場します。

   「死を予想しない快楽位、
      無意味なものはないじゃないか」(芥川 竜之介)

 もちろん死が窮極の快楽という意味ではありません。「生・老・病・死」という誰もが逃れ得ない自然の摂理と真正面から向きあうことは、それなりの勇気を必要とし、かなりの苦悩を伴うものでしょうが、それを乗り越えてこそかぎりない快楽が待っている・・・という意味です。