木魚歳時記 第335話

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妄想の かぎろひ始む 自分流

 冬のあいだ閑散とした植物園も、はや春の訪れが感じられます。人影のまばらな広場には、陽炎(かげろう)がゆらめき、木陰にはベンチが一つ、人恋しげに坐っていました。

   「ぱさぱさに乾いてゆく心を、
     ひとにせいにはするな
    みずから水やりを怠っておいて」(茨木 のり子)

 「金魚のフンのように群れたくはない」そんな強がりをいって自分流を押し通してきたぼくですが、ちかごろさすがにそれは間違っていた・・・そう思うようになりました。仏教の教えは「持ちつ持たれつ」。そう説いてきたこのぼくがです・・・