木魚歳時記 第199話

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春の雪 ほつほつ峰の 角隠し

 知足(ちそく)とは「足ることを知る」の意味です。わずかなもので満足すること。これは、釈迦の外にも中国の老子とか、西洋の哲人エピクテートやアウレーリウスも云っているそうです。

 「足ることを知り、わずかの食物で暮らし、雑務少なく、生活もまた簡素であり、諸々の感官が静まり、聡明で、高ぶることなく、諸々の(ひとの)家で貪ることがない。」(スッタニパータ)

 竜安寺にいきました。庭の隅に手水鉢があって、底の中央に正方形が刻んであります。その上下左右に「五・止・矢・隹」とありました。つまり、これを解読すると「吾れ唯だ足ることを知る」の四文字となります。誰が考えだしたのか?洒落た知恵に感服しながら帰りました。

 ぼくの師僧(おやじ)は、書斎に「知足」と書いた木片を飾り、最後は白魚のようになって、お浄土へと旅立ってゆきました。その部屋で、ぼくは「お寺て有難いなあ!」と感謝して暮らしています。

   「雛壇に 御興入れかな 玉之助」