木魚歳時記 第178話

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木枯や 紅白粉の 泣きにくる

 昔は「写真を撮ると命が吸い取られる」と考えられていたようです。ぼくは職業柄<遺影>に接する機会が多いのですが、お仏壇の傍に飾られた遺影が妙に生々しく感じることがあります。

 とりわけ、若くして他界された遺影を見ると、永遠の「時空」(じくう)を刻むその写真が、変化する周囲と比べて、妙に生々しく感じるのです。

 「諸行無常」(しょぎょうむじょう)、つまり、「この世の中で、変化しないものは無い。」これは、仏教の説く真理です。ところで、写真だけが「時空」の働きをストップする?それでは写真は「諸行無常」の真理に反する?いえ、そうではありません。永遠の「いのち」を保つように見える遺影も、大自然のスパーンで考えると、いつか消滅するのです。つまり「諸行無常」の真理に例外はありません。

   「右顧左眄右往左往の十二月」