木魚歳時記 第160話

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蛇塚は 奈落につづく 虫の声

 女郎蜘蛛が、餌の掛かるのを待っています。脚をひろげて、のんべんだらりと昼寝をしているようすは、どう見てもメス蜘蛛のようです。ところで蜘蛛の類は、メスの方が図体が大きくて、餌を捕るのも上手で、こまめに働きます。それではオスは何んのために?それは<槍一筋>に生きてきたのです。

 さて、オスは<槍一筋>の最中であっても、メスに贈り物をしたり、動けないように糸で縛ったり、いろいろと苦心をします。そうしないと最中でも食われてしまうのです。そんな苦心をしても、ついに喰はれてしまう可愛そうなオスもいます。このように、太古の昔からオスは「愛の僕(しもべ)」として、メスに尽くして生存してきたのです。

 いくら好き者でも、みすみす女の罠(わな)に嵌るのは不甲斐ない…そう考える男があったとしたら、いさぎよく「愛の僕(しもべ)」に徹して女に媚へつらうか、それとも「槍一筋」を我慢する外ありません。

  「四畳半 飛んで火に入る すがれ虫 」