木魚歳時記 第2話

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蓮台に 綿毛残して 羽抜鳥

 知恩院の七不思議(重宝)の一つに「抜け雀」があります。雀は、あまりにリアルに描かれていたので抜け飛んでしまった。嘘か本当か、それは、抜けてしまった今となってはわかりません。
 ご本尊(アミダ如来)が鎮座される「連台」(れんだい)のそばに、衣替を終えた羽抜鳥の綿毛が残っていました。冬、如来の懐で温まった羽抜鳥も、春の訪れとともに大空に羽ばたいたのでしょう。それが「抜け雀」であったか? それはご想像におまかせしましょう。
 極楽からこの世に生まれ、そして、寿命が尽きれば、また極楽に帰る。これが「往生」の教えです。つまり、わたしたちは「極楽から来て極楽に戻る」のです。