木魚歳時記

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木魚歳時記 第3193話

「今日のことば」 小十郎はどきっとしてしまひました。 そばに寄って見ましたらちゃんと この前の熊が口からいっぱい 血を吐いて倒れてゐた。 小十郎は思はず拝むやうにした。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)14 「ボクの細道」好きな俳句(942) 石田波郷さ…

木魚歳時記 第3192話

「今日のことば」 (それから二年たち) ある朝小十郎があんまり 風が烈しくて木もかき根も 倒れたらうと外に出たら(中略) 始終見たことのある赤黒いものが 横になってゐるのでした。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)13 「ボクの細道」好きな俳句(941) …

木魚歳時記 第3191話

「今日のことば」 (つづけて熊は) 「二年目にはおれはおまえの 家の前でちゃんと死んでゐてやるから、 毛皮も胃袋もやってしまふから。」 熊はうしろも見ないでゆつくり ゆっくり歩いて行ってしまいました。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)12 「ボクの細…

木魚歳時記 第3190話

「今日のことば」 (すると熊は) 「もう二年ばかり待って呉(く)れ、 おれも死ぬのはもうかまわないやうな もんだけれども少しし残した 仕事もあるしたゞ二年だけ 待ってくれ。」 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)11 「ボクの細道」好きな俳句(939) 波多…

木魚歳時記 第3189話

「今日のことば」 熊は両手をあげて叫んだ 「おまえは何がほしくておれを 殺すんだ。」(そこで小十郎は) 「あゝおれはお前の毛皮と、 胆(きも)のほかには なんにもいらない。」 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)10 「ボクの細道」好きな俳句(938) 大木…

木魚歳時記 第3188話

「今日のことば」 樹の上の熊はしばらくの間 おりて小十郎に飛びかゝろうか そのまゝ射たれてやろうか 思案してゐるらしかったがいきなり 両手を樹からはなしてどたりと 落ちて来たのだ。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)9 「ボクの細道」好きな俳句(937)…

木魚歳時記 第3187話

「今日のことば」 (大きな熊が) 猫のやうにせなかを円くして よじ登ってゐるのを見た。 小十郎はすぐ鉄砲をつきつけた。 犬はもう大喜びで木の下に行って 木のまはりを烈しく馳せめぐった。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)8 「ボクの細道」好きな俳句(9…

木魚歳時記 第3186話

「今日のことば」 ところがある年の夏にこんなような おかしなことが起こったのだ。 小十郎が谷をばちゃばちゃ渡って 一つの岩にのぼったらいきなり すぐ前の木に大きな大きな熊が (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)7 「ボクの細道」好きな俳句(935) 飯田龍…

木魚歳時記 第3185話

「今日のことば」 「熊。おれはてまへを憎くて殺したのではねえんだぞ。 おれも商売ならてめへも射たなけぁならんねえ。(中略) てめへも熊に生まれたのが因縁ならおれもこんな商売が 因縁だ。やい、この次には熊なんぞに生まれるな。」 (宮沢賢治「なめと…

木魚歳時記 第3184話

「今日のことば」 小十郎はぴったり落ち着いて樹をたてにして 立ちながら熊の月の輪をめがけてスドンとやるのだった。 すると森までががあっと叫んで熊はどたっと倒れ 赤黒い血をどくどく吐き鼻をくんくん鳴らして 死んでしまふのだった。 (宮沢賢治「なめ…

木魚歳時記 第3183話

「今日のことば」 けれども熊もいろいろだから気の烈しいやつなら ごうごう吼えて立ち上がって、犬などはまるで 踏みつぶしさうにしながら小十郎の方へ 両手を出してかかって行く。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)4 「ボクの細道」好きな俳句(932) 佐藤…

木魚歳時記 第3182話

「今日のことば」 なめとこ山あたりの熊は小十郎をすきなのだ。 その証拠に熊どもは小十郎がぽちゃぽちゃ谷をこえたり 谷の岸の細い平らないっぱいにあざみなどの生えてゐる ところを通るときはだまって高いところから見送ってゐるのだ。 (宮沢賢治「なめと…

木魚歳時記 第3181話

「今日のことば」 だからもう熊はなめとこ山で赤い舌をぺろぺろ吐いて 谷をわたったり熊の子供らがすまふをとっておしまひは ぽかぽか撲(なぐ)りあったりしていることはたしかだ。 熊捕りの名人の淵沢小十郎がそれをかたっぱしから捕ったのだ。 (宮沢賢治…

木魚歳時記 第3180話

「今日のことば」 なめとこ山の熊の胆(きも)は 名高いものになってゐる。 腹の痛いのにも利けば傷もなほる。 鉛の湯の入り口に 「なめとこ山の熊の胆(い)あり」といふ 昔からの看板もかかってゐる。 (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)1 「ボクの細道」好…

木魚歳時記 第3179話

「今日のことば」 (兎は) また叫びました。 「みんな 狸にだまされるなよ。」 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)20 おわり 「ボクの細道」好きな俳句(928) 塚原 彩さん。「天国はもう秋ですかお父さん」(彩) 天国はもう秋でしょう。さて、朝ドラ「ひよっ…

木魚歳時記 第3178話

「今日のことば」 (狸は) 怒って云ひました。 やかましい。 はやく溶(と)けてしまへ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)19 「ボクの細道」好きな俳句(927) 神野紗希さん。「右左左右右秋の鳩」(紗希) 暑さがしのぎやすくなると、ますます、鳩の動きが…

木魚歳時記 第3177話

「今日のことば」 (兎は) すっかり だまされた。 (狸の)お腹の中は まっくろだ。 あゝくやしい。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)18 「ボクの細道」好きな俳句(926) フジモンさん。「マンモスの滅びた理由ソーダー水」(フジモン) 4チャンネル「プレ…

木魚歳時記 第3176話

「今日のことば」 やがて 兎はすっかり なくなってしまいました。 そして 狸のお腹の中で、 云ひました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)17 「ボクの細道」好きな俳句(925) 塩貝朱千さん。「星とんで人魚の好きな赤ろうそく」(朱千) ここまで発想を飛ば…

木魚歳時記 第3175話

「今日のことば」 (兎は)これも仕方は ございませぬ。 なまねこ、なまねこ。 おぼしめしの とほりにいたします。 むにゃむにゃ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)16 「ボクの細道」好きな俳句(924) 岡本 眸さん。「秋晴の踏切濡らし花屋過ぐ」(眸) 荷…

木魚歳時記 第3174話

「今日のことば」 (兎は) あゝありがたいな なまねこ。 (狸は) もうなみだで身体(からだ)も ふやけそうに 泣いたふりをしました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)15 「ボクの細道」好きな俳句(923) 藺草慶子さん。「学校へ来ない少年秋の蝉」(慶子…

木魚歳時記 第3173話

「今日のことば」 兎はますますよろこんで、 あゝありがたや、山猫さま。 おかげでわたくしは 脚(あし)がなくなって もう歩かなくても よくなりました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)14 「ボクの細道」好きな俳句(922) 波多野爽波さん。「暗幕にぶら…

木魚歳時記 第3172話

「今日のことば」 (狸は) はいはい、かじります かじります なまねこなまねこ。 と云ひながら 兎のあとあしを むにゃむにゃ 食べました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)13 「ボクの細道」好きな俳句(921) 中村汀女さん。「青桐や母屋は常にひつそりと…

木魚歳時記 第3171話

「今日のことば」 狸もそら涙を ポロポロこぼして なまねこ、なまねこ、 こんどは兎の脚(あし)を かじれとは あんまりはねるためで ございましょうか。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)12 「ボクの細道」好きな俳句(920) 宇多喜代子さん。「浮いているだ…

木魚歳時記 第3170話

「今日のことば」 (兎は狸に) 助かりますなら 耳の二つやそこらは なんでもございませぬ。 なまねこ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)11 「ボクの細道」好きな俳句(919) 正木ゆう子さん。「死を遠き祭りのごとく蝉しぐれ」(ゆう子) ゆう子さんの兄(…

木魚歳時記 第3169話

「今日のことば」 なまねこ、なまねこ、 あゝありがたい、山猫さま。 私のやうなつまらないものを 耳のことまでご心配くださいますとは ありがたことでございます。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)10 「ボクの細道」好きな俳句(918) 藤田湘子さん。「あめ…

木魚歳時記 第3168話

「今日のことば」 (狸は) たうたう 兎の両方の耳を たべてしまいました。兎も さうきいてゐると、 たいへんうれしくて ポロポロ涙をこぼして 云ひました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)9 「ボクの細道」好きな俳句(917) 桂 信子さん。「女ざかりとい…

木魚歳時記 第3167話

「今日のことば」 おまへ(兎)の耳が あんまり大きいのでそれを わし(狸)に齧って 直せといふのはなんといふ ありがたいことぢゃ。 なまねこ。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)8 「ボクの細道」好きな俳句(916) 右城暮石さん。「蜘蛛の圍に蜂大穴をあ…

木魚歳時記 第3166話

「今日のことば」 狸はむにゃむにゃ 兎の耳をかみながら、 「なまねこ、なまねこ、 世の中のことはな、 みんな山猫さまの おぼしめしのとほりぢゃ。」 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)7 「ボクの細道」好きな俳句(915) 岡本 眸さん。「毛虫の季節エレベー…

木魚歳時記 第3165話

「今日のことば」 兎はびっくりして叫びました。 「あ痛っ。狸さん。 ひどいぢゃありませんか。」 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)6 「ボクの細道」好きな俳句(914) 小川軽舟さん。「牛冷すホース一本暴れをり」(軽舟) 暑い盛り、牛たちの体を冷やすこ…

木魚歳時記 第3164話

「今日のことば」 (狸が) 「なまねこ、なまねこ、 みんな山猫さまの おぼしめしどほりになるのぢゃ。 なまねこ。なまねこ。」と云ひながら 兎の耳をかじりました。 (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)5 「ボクの細道」好きな俳句(913) 伊丹三樹彦さん。「…