2019-06-12から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第3820話

その年の行く春の一日、門院からのお召しの御使者があった。宮はそのころ鳥羽離宮の泉殿の跡の成菩薩院の一間をご在所にしておられた。伺候(しこう)してみると、宮ははなだ色の地に雲をこまかくつけたおん上衣の褻衣(けぎね)でおくつろぎのように拝せら…