2014-01-10から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1562話

痩せ馬に重荷 「馬力」(ばりき)のない馬に、重荷を背負わせて、使い物にならなくしてしまう。転じて、大きな仕事をかかえ、能力・気力・体力など、あらゆる面で「荷が重すぎ」て、仕事にふさわしくない人物に大任を負わせて、結局、なにもかも台無しにして…

木魚歳時記 第1561話

馬陸(やすで)臭亀(くさがめ)を笑う 馬陸(やすで)は、百足(むかで)に似た節足動物です。臭亀(くさがめ)は亀虫の異称です。いすれも異臭を出すことで知られています。そのヤスデがカメムシのことを「おまえさん臭い」と笑ったというのですから、これ…

木魚歳時記 第1560話

百鳥(もず)の沓手(くつて)を乞(こ)う 沓手鳥とは、時鳥(ほととぎす)のことです。郭公(かっこう)科の鳥です。その沓手鳥(ほととぎす)は、前世に、百舌(もず)に売った沓(くつ)の代金を、冥土から現世に取りに来るという伝説があります。ところ…

木魚歳時記 第1559話

百鳥(もず)の贄(にえ)を見つけると幸せにありつける 百鳥(もず)が木の枝に捕らえた餌を串刺しにする習慣があることはよく知られています。一見して残酷な行為に見えますが、なぜか、この「百鳥(もず)の贄(にえ)」を見つけた者は幸せになれるという…

木魚歳時記 第1558話

百舌勘定 モズ・鴫(シギ)・鳩の三羽が集まって、相談の上、十五文の買い物をしたそうです。ところが、モズは腕力にまかせて、鳩に八文、シギに七文を出させ、百舌(もず)自身は一文も出さなかったそうです。転じて、会食の勘定の時になると他人におんぶし…

木魚歳時記 第1557話

百鳥(もず)が鷹を生んだ 「鳶(とび)が鷹を生んだ」ともいいます。さて百舌(もず)・鵙(もず)は気性の激しい鳥です。しかし、大きさも、強さも、風格もそれは鷹(たか)とは比べものにはなりません。それに百舌はお世辞にも美しい鳥とはいえません。転…

木魚歳時記 第1556話

土竜の参宮 前項と似たようなことわざです。参宮(さんぐう)とは、お伊勢さまに参詣することです。誰でも一生に一度や二度はお伊勢さまに参宮(さんぐ)したいと思うことでしょう。しかし、土竜(もぐら)のように土中を掘り進んでいたのでは、お伊勢さまに…

木魚歳時記 第1555話

土竜(もぐら)が石につかえたよう 土竜(もぐら)の行動は、あまりよく知られていません。しかし、その強力な爪のある前足でかなりのスピードでトンネルを掘りながら進むことができるそうです。しかし、いかんせん巨大な岩石につきあたると、いくら強力な前…

木魚歳時記 第1554話

木魚が質に取られたよう 木魚(もくぎょ)は、寺の和尚(おしょう)が叩くあの仏具のことです。読経の時に叩かれる以外は、たいてい、本堂の隅にぽつねんと置かれています。転して、一日中寝床の上に坐って何の役割も果たさないような「朴念仁」(ぼくねんじ…

木魚歳時記 第1553話

猛獣の餌を搏(う)たんとするや耳を垂れ伏す 猛獣が目ざす獲物を襲うときは、耳をたれ伏し、身をかがめてひそかに至近距離まで接近します。最初から脚力を誇示して襲いかかるような無謀な攻撃はいたしません。転じて、真の実力者は、外面は柔弱そうにみせて…

木魚歳時記 第1552話

猛虎たちまち羊となる 似たようなことわざに「猛虎も時を失えば鼠のごとし」があります。性質の猛々しい虎も、捕らえられて檻(おり)に入れられるとおとなしくなります。本性は変わらなくとも、生きてゆくためにはそうせざるを得ないからでしょう。転じて、…

木魚歳時記 第1551話

牝鶏(めんどり)がうたえば家が滅ぶ めんどりがおんどりに先んじて朝の刻(とき)を告げるとよくないことが起こる。いまどき、こんな古臭いことをほざいていると肉食系の女性から総スカンを食うこと必定です。しかし、牝鶏(めんどり)に働かせて遊んで暮ら…

木魚歳時記 第1550話

牝牛に腹を突かれる ふだんはおとなしくて、決して人を傷つけることがない牝牛(めうし)に腹を突かれて大怪我を負ってしまったということわざです。転じて、予想外の相手から不意をつかれてひどい目にあうことがあります。それは鋭い刃物で刺されるより充分…

木魚歳時記 第1549話

名馬千里の道をゆく 「名馬は盥(たらい)の間(あいま)に伏せども千里の志あり」ともいいます。名馬は老いてかいば桶(おけ)のそばに伏す身となっても千里の道を走る志(こころざし)を忘れない。転じて、すぐれた人物は年をとっても、あるいは年若くとも…

木魚歳時記 第1548話

名馬に癖(くせ)あり、名馬に難あり 昔から名馬には、どこかに癖(くせ)があります。そのクセを知ることが乗りこなす条件です。いったん乗りこなせれば名馬となるのです。すぐれた馬を見い出すことが出来る人物を「白楽」(はくらく)と称したようです。転…

木魚歳時記 第1547話

狢(むじな)と狐の化かしあい 狢(むじな)は、穴熊の異称です。しかし穴熊と狸は毛並みや体型が似ているところから、穴熊と狸を混同することもあるようです。つまり「狐と狸の化かし合い」のことわざわそこから生まれたのでしょう。それはともかくとして、…

木魚歳時記 第1546話

虫の息 これが出たところで「虫」(腹の虫)にかかわることわざはおしまいといたしましょう。そもそも、虫は息をするのでしょうか? それは、当然、息をしなければ生きてゆけないでしょうから、息はするのでしょう。しかしそれは、人間にわからないくらいの…

木魚歳時記 第1545話

虫の居所が悪い こうしたことわざはいまでもさかんに用いられるようです。機嫌が悪くてちよっとしたことでもすぐ腹が立つようなときに自嘲気味に用いることわざです。もちろん、自分のわがままを「腹の虫」のせいにするのは卑怯ですが、こうした場合は腹が立…

木魚歳時記 第1544話

虫の知らせ 起こりそうなことを事前に予感できるのは誰にでも心あたりがあります。もんちろん、両者の関係に科学的な説明のつかないのは当然です。これを仏教では、いわゆる「五感」の外に「第六感」(意識感)といたします。話は逸れますが、宇宙全体の約八…

木魚歳時記 第1543話

虫に障(さわ)る これもおなじような意味であります。「心の虫「腹の虫」に不用意に触れると「腹の虫」が騒ぎ出すため、いろいろの体調変化や不具合を生じることから生まれたことわざです。転じて、癪(しゃく)にさわる、癇(かん)にさわる、腹が立つ、気…

木魚歳時記 第1542話

虫が治まる もとの意味は前項と反対のことわざです。「ひきつけ」とか「浮気の虫」が落ち着いた状態を指すのです。転じて、腹立ちの気持ちが消えて怒りや不満の気持ちがとけておだやかになることを指します。似たようなことわざに「虫が降りる」があります。…

木魚歳時記 第1541話

虫が起こる 昔、子どもが「ひきつけ」を起こしたり、原因不明でむずがると「虫でも起こしているのだろう」。と、灸(きゅう)などすえて治そうとしたものです。また、大人でも、よからぬことに気が転じると「それまた遊びの虫(欲望)が顔を出した」。と、い…

木魚歳時記 第1540話

虫が好かない 「虫が合う」の反対のことわざです。そもそもここでいう「虫」とは人間の体内にいるとされる「心の虫」のことであります。この「心の虫」が、その人の身体や感情にさまざまな影響を与えると昔の人は考えていたようです。そうしたところから「心…

木魚歳時記 第1539話

百足(むかで)に草鞋(わらじ)を履かせる 百足(むかで)は足がたくさんあるところから、歩くときに素足のままでは痛かろうと、その一本一本にワラジを履かせてあげようと考えた人がいたそうです。しかし、それはたいへん面倒なことにちがいありません。転…

木魚歳時記 第1538話

百足(むかで)のあだ転び まさしくその名のように、百足(むかで)には沢山の足があります。ですから、めったなことでは転びそうにはありません。そんな百足(むかで)も誤って転倒することがあるということわざです。足が多すぎて「もつれる」のでしょうか…

木魚歳時記 第1537話

蓑虫は鬼の子 蓑虫(みのむし)の姿がその成虫である蓑蛾(みのが)と似ても似つかないところから生まれたことわざです。転して、人間の親子でも、ときに親とはかなり違ったところがある子どもがあると「あの子は鬼っ子として生まれつきましたので」と、この…

木魚歳時記 第1536話

海驢(みち)の寝流れ 海驢(みち)とは、おおよそ聞きなれないことばです。つまり、海馬(あしか)のことです。海馬(あしか)の古名とされています。古い歌に「我が恋は海驢(みち)の寝流れさめやらぬ夢なりながらたえや果てなん」(歌林拾葉集十一)とあ…

木魚歳時記 第1535話

鶚(みさご)の鮓(すし)は一箆(へら)残せ 大型の海鳥である鶚(みさご)は、捕獲してきた魚を岩陰の窪(くぼ)みに隠します。それに海水がまじり、魚が発酵して「鶚(みさご)鮓(すし)」と呼ばれる珍味となるのです。見つけた者はそれを根こそぎにせず…

木魚歳時記 第1534話

吠える犬をけしかける いきり立っている犬は、飼い主でさえ押さえきれないほど吠え立てるのでどうしようもないものです。転じて、調子に乗って高ぶっている者や、本質のわからない単細胞をうまく利用して、為政者の都合のいいようにアジテーターに仕立てる下…

木魚歳時記 第1533話

蚌(ほう)を煮て珠(たま)の爛(ただ)るるを知らず 「蚌」(ほう)とは、ドブ貝のことです。貝のうちがわに真珠貝のような光沢があります。したがって、たまにドブ貝の中に真珠を産することがあるようです。そのことを知らず、ドブ貝の外形に惑わされてそ…