2014-01-10から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1592話

蚰蜓(げじ)に嘗(な)められると禿(は)げる 蚰蜓(げじ)は、ムカデ科ゲジ目の節足動物です。百足(むかで)にしても、「ゲジゲジ」にしても、長虫(蛇の異称)と同様に節足動物はなぜか人間に「毛嫌(きら)い」されますがどうしてでしょうか? その「…

木魚歳時記 第1591話

窮(けもの)窮(きゅう)すれば噛(か)む 「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」の方が一般的に知られています。ふだんは猫に追われる鼠(ねずみ)といえども、時により場合によっては、土壇場で猫に逆襲することがあるそうです。このことわざは自然界で子育てをす…

木魚歳時記 第1590話

両虎相闘えば勢い倶(とも)に生きず 百獣の王といわれる虎であろうと、その二頭がお互いに闘えばどちらかが倒れます。転じて、二人の勇者が相争えばどちらかが滅びる。「両勇相立たず」とか『両勇相並ばず」とかいわれる由縁です。このところそうした「両勇…

木魚歳時記 第1589話

老驥(こうき)櫪(れき)に伏すとも志千里に在り 「老驥(こうき)千里を走る」ともいいます。「老驥(こうき)とは駿馬(しゅんば)の年老いた果てです。櫪(れき)とは厩(うまや)のことです。駿馬は年老いて厩(うまや)につながれても、なお、千里の道…

木魚歳時記 第1588話

良驥(りょうき)の足を絆(はだ)して責(せ)むるに千里の任を以ってす 良驥(りょうき)とは、駿馬(しゅんめ)、すなわち名馬のことです。名馬の足を縛(しば)っておいて千里を走れと責め立てる愚(ぐ)を諭したことわざです。転じて、能力・才能に恵ま…

木魚歳時記 第1587話

良禽(りょうきん)は木を選んで棲む 良禽(りょうきん)とは賢い鳥のことです。賢い鳥は木を選んで巣づくりをして子どもを育てます。転じて、賢臣(賢い部下)は、名君(賢い主君)を選んで仕えるという喩えです。ぼくは賢臣ではありませんが、水谷幸正先生…

木魚歳時記 第1586話

竜門の滝登り 「竜門」(りゅうもん)は黄河中流にある難所です。魚やスッポンの類(たぐいがここを通過できれは竜となって天に昇ることができるとの伝説があります。転じて、ある通過点乗り越えると出世するといわれのが「登竜門」のことばの生まれる基にな…

木魚歳時記 第1585話

野狐禅(やこぜん) 野狐が原野で座禅をして、悟りをひらいたつもりでうぬぼれていたところを、通りすがりの虎が来て食ってしまったということです。転じて、生かじりの学問や知識をひけらかせて大失敗することを諭したことわざです。かくいう『木魚歳時記』…

木魚歳時記 第1584話

豹(ひょう)は死して皮を残し、人は死して名を残す 豹(ひょう)でも、虎(とら)でも、熊でも(そのこと自体に問題がありますが)立派な動物の「毛皮」とや「標本」が貴重な物とされるのは事実です。さて、人間は「名を残す」とありますが、そのことが、そ…

木魚歳時記 第1583話

蟷螂車をさえぎる 蟷螂(かまきり)が、自慢の斧(おの)をふりかざして、往来する車に立ち向かってゆくという蛮勇(ばんゆう)を諭した話です。転じて、弱者が、自分の力をわきまえず、とても歯が立たない強者に立ち向かうこと。無謀(むぼう)で身のほどを…

木魚歳時記 第1582話

陶犬瓦鶏 陶磁器で作った犬と素焼きの鶏(にわとり)のことです。「石にて造りし犬は盗人を咎(とが)めず。瓦(かわら)にて造りし鶏(にわとり)は八声(はっせい),すなわち、刻(とき)を唱えず」の故事に基きます。転じて、見えだけが立派で、実際、な…

木魚歳時記 第1581話

天馬(てんば)空(くう)をゆく 「天馬」(てんばとは、天上界に住む天帝が乗る馬のことです。天馬は天帝の命をうけて天上界を自由自在に駈(か)けることができます。転じて、着想や発想が自由自在で、自由奔放に行動力が発揮できる機動力のある人物を喩え…

木魚歳時記 第1580話

田鼠化(か)して鶉(うずら)となる 田鼠(でんそ)とは土竜(もぐら)の異称です。古代中国では、季節の移り変わりを示す七十二候の一つに数えられています。陰暦三月の第二候のころ、土竜(もぐら)が鶉(うずら)と化して地上で大いに活動するという俗信…

木魚歳時記 第1579話

貂(てん)になり兎になり 時には肉食獣である貂(てん)となり、時には草食のおとなしい兎(うさぎ)になるというのです。転じて、「飴と鞭(むち)」のことばもあるとおり、時には厳しく、時にはやさしくすることは、必要なことであり現実にあることです。…

木魚歳時記 第1578話

照り鷽(うそ)が鳴くと雨になる 「鷽」(うそ)は、早春に活動するアトリ科の小鳥です。俳句の世界では、全身が褐色の雄(おす)を照鷽(てるうそ)と呼び、全体が地味な雌(めす)を雨鷽(あまうそ)と呼ぶようです。その意味では、上掲のことわざと矛盾し…

木魚歳時記 第1577話

蝸牛(かたつむり)の角(つの)目立つ 昔、中国の両雄とされた、触(しょく)氏と蛮(ばん)氏の無益な争いのために数万の死者が出ました。以来、両雄を蝸牛(かたつむり)の左右の角(つの)に例えて生まれたのがこのことわざです。転じて、どちらに転んで…

木魚歳時記 第1576話

鶴は千年、亀は万年 鶴と亀は、それぞれ千年と万年の寿命を保つといわれています(『淮南子・説林訓』)。もちろん、伝説上の話であります。転じて、人間社会においても、大変に長寿でめでたいことの意味に用いられます。ですから、不吉(ふきつ)を避けるた…

木魚歳時記 第1575話

鶴の一声 荒涼とした北の原野で聞く鶴の一声は、まことに周辺の寂寞(せきばく)を圧して、天にまで届きそうであります。転じて、すぐれた人物、賢者の発する、自信に満ちた一声は、周囲の者を感動させ、その内容は多くの人を納得させ、影響を与えるものであ…

木魚歳時記 第1574話

繋ぐ犬の柱を回るがごとし 柱に繋がれた犬が、ぐるぐる回るうちに、紐が柱に巻きついて、だんだんと身動きできない状態になることを指します。よく見かける情景ですが、犬はいたしかたがないして、似たようなことは世の中にたくさんあります。魅力的なことに…

木魚歳時記 第1573話

沈魚落雁(ちんぎょらくがん) 「閉月羞花」(へいげつしゅうか)と続きます。いわゆる、魚は淵に身を沈め、空飛ぶ雁(かり)は見とれて落ちる。月は雲間に姿を隠し、花は恥じらいしぼんでしまう。絶世の美女にささげることばです。転じて、人間の目にはそれ…

木魚歳時記 第1572話

蝶は菜種の味知らず菜種の蝶は花知らず 蝶が、菜種の葉で育つ青虫のころは、菜種はまだ咲いていません。青虫が蝶となる頃は菜種の花は散ってしまってありません。「蝶、無心に花を訪れ、花、無心に蝶を待つ」。このように詩的にはゆかないのです。転じて、切…

木魚歳時記 第1571話

竜の顎(あぎと)の珠(たま)を取る 竜の顎(あぎと)すなわち顎(あご)の下にある宝玉(ほうぎょく)を得るには、かなりの覚悟が必要です。まず「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と同類のことわであります。転じて、ある重要な任務を達成するためには、非常…

木魚歳時記 第1570話

竜が翼(つばさ)を得たるがごとし 「竜の雲を得るがごとし」とも。雲に乗じて天に昇る竜が、翼を得たならば、さらにその力は倍増するだろう。まさに「鬼に金棒」の類(たぐい)のことわざです。転じて、強いものがさらに権力を備えれば怖いものなし。英雄豪…

木魚歳時記 第1569話

竜天に登る 「竜吟(ぎん)ずれば雲起こる」。すなわち、池に棲む竜が鳴けば雨雲がわき起こり、その雨雲に乗じて竜は天にのぼると伝えらています。そうした故事に基づいてこのことわざが生まれたようです。転じて、聖人君子(くんし)が天子の位に就くことや…

木魚歳時記 第1568話

逆鱗(げきりん)に触れる 想像上の生きもである竜の胸には、逆さまに生えた一枚の鱗(うろこ)があります。そして、これに誤って触ようなものなら竜は怒り狂い、見境いもなく人を傷つけ殺めたりすると伝えられます。転じて、帝王の泣き所に触れて立腹させて…

木魚歳時記 第1567話

嫁と猫は近所から貰うな 嫁と猫を一緒にするなんて怪しからぬ話と叱られるかも。説明するまでもなく、お嫁さんも猫も生家(猫は生家とはいわない)が近いと、すぐに帰るので、嫁いだ(貰われた)家になじまないということでしょう。似たことわざに「嫁と厠(…

木魚歳時記 第1566話

羊頭を掲(かか)げて狗肉(くにく)を売る 狗肉(くにく)とは犬の肉のことです。ようするに、看板は、羊(ひつじ)の肉を売るかのごとく羊の頭など掲(かか)げながら、中味は犬の肉を販売している。これは大陸(中国)が発祥のことわざでしょう。日本人の…

木魚歳時記 第1565話

世の中よかれと鳴く烏は粢(しとぎ)を貰うて食う 「粢(しとぎ)とは、神さまに供える卵形の餅のことです。すなわち、世の中よかれと豊作を祈って鳴く烏(からす)は、神さまに供える粢(しとぎ)にありつける。豊作を祝して鳴けば、食い物にありつける。と…

木魚歳時記 第1564話

山より大きな猪(しし)は出ぬ 仕事に掛かる前から、あれこれ支障が生じて、うまく進まないのでないかと「取り越し苦労」をする御仁はいくらでもいます。そうした気の小さい御仁に勇気を与え、元気を出させるためのことわざです。「心配ご無用、いままで山よ…

木魚歳時記 第1563話

痩せ馬の道急ぎ 上記のことわざと反対のことわざです。馬力のない痩せ馬にかぎり、せわしげに道を急ぎ、へばってしまうということです。この二つのことわざは、反対というより裏表の関係にあるというのがぼくの考えです。つまり、弱気で能力に乏しい者が、い…